日本の住宅ローンは100年以上の歴史がある。

安田財閥の創始者である安田善次郎は、1896年に一般市民のための不動産金融と、その付帯事業のために東京建物を設立した。

当初は資産家が中心であったが、中産階級にも顧客の幅を広げ現在に至っている。

また賃貸住宅は、日本では江戸時代より発展している。

江戸という大都市は急激に人口が増加したが、町人地が全体の20%程であったため、慢性的な土地不足であり、それを解消するために膨大な数の長屋が建てられた。

江戸では町人の80%程が長屋の住人であった。

現代社会においても、ネットや雑誌などで頻繁に、ローンで家を買うのと賃貸ではどちらが得なのかと論じられている。

家を何軒も買えるだけの財力がある人は自由にすればよい。だが、さしたる財産の無い庶民はどのようにすればよいのであろうか?

 

私自身は賃貸で十分だと思っている。

幼少時は家賃1万円程の公営住宅に住んでいた。

住宅環境は決して素晴らしいものではなかったが、所得に占める住居費は少なく、他の生活費にお金を回せていた。

幼少時に良好な環境で育ってないせいか、人生の中で住宅に対する優先順位が低いのは事実である。

しかし、今現在家をローンで買うだけの財力はあるのに、

未だに購入していないのは以下のごとく持ち家(ローン)のメリット・デメリット、賃貸のメリット・デメリットを考慮に入れて、

現状私には持ち家が必要では無く賃貸で十分と判断したからである。

 

ローンで家を買う、それは35年もの長きにわたっての大後悔、もとい大航海である。

35年の間には結婚・出産・転勤・子供の独立・離婚・定年などの様々なイベントが発生する可能性がある。

子供がいる場合は、都心より野山や川のある郊外の方が自然教育や遊びの面からみて良いであろう。

しかし、定年を迎え子供が独立した時、郊外の住宅は部屋は余り、また買い物に行く場合体力の低下から苦難を伴う場合も多かろう。

都心部なら公共交通機関やタクシーなどで体力面の低下を補ってくれる。

このような場合、持ち家ではライフスタイルの変化に対応できない場合が多いが、賃貸では小回りが利く分十分に対応可能である。

ただ賃貸の場合一軒家は選択肢が少ないので、その点を考慮にいれる必要はある。また、家は常にメンテナンスが必要である。

持ち家の場合自分の好きなように改造やリフォームを行うことが出来るが、賃貸の場合それは出来ない。選択権は大家にある。

しかし、人によってはリフォームなどは煩わしい手間のかかる問題であるので、大家に任せた方が楽という考えの人も多かろう。

また金銭面では持ち家の場合、常にリフォームなどに備えてお金を積み立てておく必要があるが、賃貸の場合は必要ない。

自由の裏には常に不自由が付きまとうものである。逆もまたしかり。

 

今の日本では終身雇用はもはや死語である。

企業は景気次第でリストラを行う。例えば自身がリストラされた場合、賃貸住宅ならばさらに安い住居に転居して支出を抑える事が出来る。

しかし持ち家の場合は住宅ローンが払えなくなって自己破産である。自己破産まで至らなくても、持ち家を売却し借金が残る事例は多い。

戦後数十年が異常であって、基本世の中は不確実なものである。借金をしてまで大きなリスクを取る必要は無かろう。しかし、ローンを完済すれば家は自分のものである。

 

住宅ローンを抱えた場合、ローン返済が支出の優先順位上位になり、娯楽などの支出が抑制される事が多い。

人生は衣食住が大切であるが、住を優先するあまり衣食が疎かになり、結果バランスの悪い人生を送るのではと思う。

1980年代のバブル期、20~30代の人の中には高騰する地価の為に住宅取得を諦め、車やレジャーなどにお金をつぎ込む人も多かった。

彼らは住宅購入を諦めたが、その人生はとても楽しかった人も多かろう。現代の若者のようにボーナスの使い道第一位貯金などでは決してない。

自分にとって別のお金の使い道があるのならそちらを優先しても良いと思う。

 

以上の三点から、私には家の購入は現状必要無いと判断した。

しかしライフスタイルの変化如何では購入する可能性も十分にある。

読者諸君も置かれた状況やメリット・デメリット・優先順位を考え住宅購入・賃貸を選択してもらいたい。